【本】働く理由99の名言に学ぶ仕事論より
名言や格言を集めた本の中にはいくつか響く言葉があるものです。この本を読んでいて付箋を貼った言葉達です。
仕事とは自分の能力や興味、価値観を表現するものである。
そうでなければ、仕事は退屈で無意味なものになってしまう。
ドナルド・E・スーパー
自分のやりたいことをやるために起業する、
という話をたまに聞く。あまりぴんとこない。
なぜなら、お客様は、
自分のやってほしいことに対してお金を払うのではなく、
お客様のやってほしいことに対して、
お金を払うからだ。(中略)
自分のやりたいことと、お客様のやってほしいことは、
まず一致しないと考えたほうがいい。
私も、やりたいことがあって起業したわけではなく、
やりたいようにやりたくて起業した。(中略)
今、猛烈に仕事が楽しいのは、
お客様のニーズにさえ合っていれば、
いくらでも自分のやりたいようにできるからだ。
木村志義 株式会社ジョイコンサルティング代表取締役ブログ
第一、何の目標も持たずに生きることなんてできはしない。
何かをするということは、必ず何かをめざすということだ。
「おぼろげながら自分は何をやりたいかは分かっていたつもりです。そのやりたいことを仕事として実現するにはどうしたらいいのかを考えました。会社の規模にはこだわりません。自分のやりたいことができるかどうか、仕事を通して自分が成長できるかどうか。この2点で、いくつかの会社を比べ、今の会社を選びました。」
60%でとりあえず走りだせ
100%準備をするなんてことはそもそも無理なことである。そんなことをしようとしたら、準備だけで人生が終わってしまう。そうではなくて、ある程度の準備をしたら、不完全な状態でもとりあえず走りだす。走り出してみないと分からないこと、走り出してみて初めてわかることがある。1年かけて考えても分からなかったことが、走り出してみたら一日で分かってしまうこともある。100%をめざしてじっくりと準備をするよりも、60%の段階でとりあえず走りだせということだ。
一概に選択肢が多いほど恵まれているとはいえない。選択肢が多ければ多いほど迷いの幅も広がる。迷いの幅が広がれば不安も大きくなる。それだけではない。選択肢が多いと自分の力が分散されてしまい、ある分野に投入する時間とエネルギーが薄められてしまう。
自分に与えられた条件をまずは受け入れること。そして、その条件のもとで自分の仕事をデザインしてみる。現実とかけ離れた観念に惑わされることなく、「ここではないどこか」に自分の人生の意味を求めるのでもなく、あくまで「今、ここ」に目を向ける。
それはありふれた「普通の人生」かもしれない。しかし、あなたしか送れない人生という意味で、それは「特別な人生」なのだ。
人は働きながら、その人となってゆく。人格を形成するといっては大げさだけれど、その人がどんな仕事をして働いてきたかと、その人がどんな人であるのかを、切り離して考えることはできない。
小関智弘「仕事が人を作る」(岩波新書)
愚か者は、幸福がどこか遠いところにあると思い込んでいる。
賢い者は、幸福を足元で育てている。
ジェームズ・オッペンハイム
もっといい時代があるかも知れないが、これはわれわれの時代なのだ。
サルトル
転機を目の前にしたとき、ほとんどの人は怖じ気づく。そういうとき、4つのリソース(状況、自己、支援、戦略)をもとに熟考するといい。現在の状況を整理し、これまでの自分を振り返り、支援を受けられそうな人や組織を洗い出し、戦略を練るのだ。その際に心がけるのは、主体的、計画的、積極的な態度である。
正しいことをしたければ、偉くなれ
踊る大捜査線
夢の実現への三条件
第一に、夢(将来のあるべき自分)と現在の自分のギャップを自覚しているか?
第二に、そのギャップを埋めていく戦略や戦術をぼんやりとでもイメージできているか?
第三に、夢に向かって懸命に努力し、一歩ずつでもその階段を上っているか?
「お前には無理だよ」と言う人のことを聞いてはいけない。
もし、自分で何かを成し遂げたかったら、
できなかったときに、他人のせいにしないで、自分のせいにしなさい。
多くの人が、僕にも「お前には無理だよ」と言った。
彼らは、君に成功してほしくないんだ。
なぜなら、彼らは成功できなかったから。
途中であきらめてしまったから。
だから、君にもその夢をあきらめてほしいんだよ。
不幸な人は不幸な人を友達にしたいんだよ。
決してあきらめては駄目だ。
自分のまわりをエネルギーであふれた、
しっかりした考えかたを持っている人で固めなさい。
自分のまわりをプラス思考の人で固めなさい。
近くに誰か憧れる人がいたら、その人のアドバイスを求めなさい。
君の人生を変えることができるのは君だけだ。
君の夢が何であれ、それにまっすぐ向かって行くんだ。
君は、幸せになるために生まれてきたんだから。
マジック・ジョンソン(プロバスケットボール選手)
いかなる道であれ、一意専心で十年も全力投球すれば、その道で何とかなるもの。(中略)私は「ある方面での職業的成功とは、適性&かけた時間の総和であって、才能の問題にあらず」と考えている。
本多信一「気楽に生きれば自分が活きる」(ビジネス社)
何かが上達し、うまくなるという領域に入るためには、ピアノでも何でも最低1万時間は取り組む必要があると言われます。
日垣隆「すぐに稼げる文章術」(幻冬舎新書)
1万時間とはどれくらいの時間だろうか?日に3時間、1日も休まずに365日続けたとすると、1年で約1000時間になる。そうすると、10年で約1万時間という計算になる。同様に、6時間だと5年で1万時間に達する。
才能とは継続する情熱のことである。
モーパッサン(フランスの作家)
何を優先させて、何をあきらめるか
ドナルド・E・スーパーは、「仕事の重要性研究」(Work Importance Study)で、以下に示す14の労働価値を特定した。労働価値とは要するに「あなたは仕事に何を求めているのか」ということである。
1、能力の活用(自分の能力を発揮できる)
2、達成(良い結果が生まれたという実感を持てる)
3、美的追求(美しいものを創りだせる)
4、愛他性(人の役に立てる)
5、自律性(他からの命令や束縛を受けず、自分の力だけでやっていける)
6、創造性(新しいものや考えを創りだせる)
7、経済的報酬(たくさんのお金を稼ぎ、高水準の生活を送れる)
8、ライフスタイル(自分の望むような生活を送れる)
9、身体的活動(体を動かす機会が持てる)
10、社会的評価(社会に広く仕事の成果を認めてもらえる)
11、冒険性、危険性(わくわくするような体験ができる)
12、社会的交流性(いろいろな人と接点を持ちながら仕事ができる)
13、多様性(多様な活動ができる)
14、環境(仕事環境が心地良い)
人は仕事を選ぶとき、自分の人生において何を優先させるのかという価値観を明確にしなければならない。すべてを手に入れることはできない。何を優先させるかという選択は、同時に何をあきらめるかという選択でもある。
若い人たちはよく「生き甲斐がない」と言います。しかしそれは当たり前です。
孤立した人には生き甲斐はない。生き甲斐は人間関係です。
石川達三「暮らしの手帖40号」(暮らしの手帖社)
レイトン・P・アルダーファーは、働く人の欲求を、生存(E:Existence)、関係(R:Relatedeness)、成長(G:Growth)の3つに集約し、それぞれの頭文字をとってERG理論とした。「生存(Existence)欲求」とは、賃金や待遇などに対する欲求、「関係(Relatedness)欲求」とは、上司や同僚、部下との関係を良好に保ちたいという欲求、「成長(Growth)欲求」とは、仕事を通じて成長したいという欲求である。
会社を選ぶとき、生存欲求だけでなく、関係欲求や成長欲求が満たされるかどうかについても注意を向けたほうがよい。収入や待遇が会社によって大きく違うということはあまりない。しかし、関係欲求や成長欲求が満たされるかどうかは、会社や職場によって天と地ほどの差がある。
付け加えれば、関係欲求が満たされる職場とは、単に和気あいあいとした職場ということではない。そこに他人の成長をサポートしようという雰囲気があるか、つまり<助ける―助けられる><教える―教えられる>という雰囲気があるかどうかがポイントだ。
真剣に遊べば、手応えを感じられる。適当に遊んでいると手応えを感じられない。真剣さと手応えの関係は、「作用・反作用の法則」でうまく説明できる。
「作用・反作用の法則」とは、「物体Aが物体Bに力を加えると、必ずBもAに同じ大きさで反対向きの力を返す」という法則である。たとえば、あなたが10の力で壁を押したのなら、10の力で壁はあなたを押し返している。
あなたが壁を押す力を「真剣さ」、壁があなたを押し返す力を「手応え」と考えるといいだろう。真剣に取り組めば取り組むほど、その分だけ手応えを感じられる。真剣に取り組まなければ、手応えは感じられない。この手応えこそが、面白いという実感の幹だ。真剣さ→手応え→面白さというように整理できる。
本当に仕事が面白くなかったら、仕事が嫌で嫌でたまらなかったら、仕事が終わったあとに居酒屋で会社や仕事の話なんてものはしないだろう。
気がついてはいないけど、ほとんどの人は仕事を面白がっている。本当は、遊びよりも仕事の方が楽しいはずだ。なぜかといえば、真剣さの度合いが違うからだ。真剣さが違えば手応えも違ってくる。仕事には苦労も多いけど、苦労ゆえの面白さがあるのだ。
ボランティア活動などが充実感と結びつきやすいのは「遊び」のもつ距離を設定した自由な関わりと、労働条件の持つ社会的関連性とが適度にまざっているからであろう。
藤村正之「仕事と遊びの社会学」「岩波講座現代社会学集第20巻」(岩波新書)